Bob Dylan With Tom Petty & The Heartbreakers / The Best Show Minneapolis 1986 / 2CD

Bob Dylan With Tom Petty & The Heartbreakers / The Best Show Minneapolis 1986 / 2CD / Zion

Translated Text:
Live at Hubert H. Humphrey Metrodome, Minneapolis, MN. USA 26th June 1986 STEREO SBD


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8月に1965年のディラン・ライブの新音源が登場して世界中のマニアが騒然とさせられたところからリリースしてみせたのが「THE GINSBERG TAPES 1965」でしたが、9月にはまた驚きのディラン・ライブ新音源が登場して世界中のマニアの注目を浴びました。それが1986年6月26日のミネアポリス公演のステレオ・サウンドボード録音。当然ながら今週のリリースに向けて準備を進めていたのですが、その作業が大詰めに差し掛かった先週、まさかのトム・ペティ訃報が伝えられました。そのタイミングには唖然とさせられたと同時に、一方では今回のような素晴らしいサウンドボード録音の登場が彼へと追悼を込めたリリースとなることを願ってやみません。

ディランがトム・ペティ・アンド・ザ・ハートブレイカーズを従えて行った1986年のライブ活動ですが、6月から8月にかけてのアメリカ・ツアーに至っては「この夏の最高にホットなチケット」とまで呼ばれたほど。しかしディラン自身はアーティストとしての方向性を見失いかけていた時期であり、オープニングを始めとして随所にカバー曲が散りばめられた選曲が当時から「ディランは自分の作品に興味をなくしてしまったのでは」とマニアの間で囁かれていたものです。案の定、ディラン自身が後に自伝の中でそのことを裏付ける証言を記しており、やはり自身の活動の方向性を見失っていた一年であることを告白していました。曰く「私は盛りを過ぎた人間であり、ペティは絶好調だった」とも。
実際1985年のファーム・エイドで初めてペティとハートブレイカーズにバックを務めてから1987年のヨーロッパ・ツアーまでの彼らとの長期にわたる活動の中では、ディランがペティやハートブレイカーズに支えられていた時期でした。
こと86年に関してはあれほどまでに話題を呼んだ夏のアメリカ・ツアーの陰で、ディランは長いツアーが終わったら引退する心構えでいたことも自伝の中で明らかにしていたのです。それほどまで自身に迷いの中で行われたツアーだけのことは86年のステージはオフィシャルのライブ・ビデオがリリースされた2月のシドニーを観ても伺い知れません。むしろ質が高いのではないか。ところがツアーが進むにつれ、ディランのステージに対する迷いが大きくなっていったことも確かなのです。
それを裏付ける結果となったのがアメリカ・ツアーから流出した各種サウンドボード録音。PAアウトによる録音で残された音源の流出は7月から8月に集中しており、例えば7月4日のファーム・エイドなどは音声と映像の両方で昔からよく知られているもの。それを始めとした7月や8月のサウンドボード録音を聞いてもディランのパフォーマンスから特別な何かが伝わってこないのは確か。サウンドボード録音という性質上、これまでいくつものアイテムがリリースされてはいたのですが、そこから伝わってくるのはディランの平坦なパフォーマンスぶりと、裏腹にイキイキとした演奏を聞かせるペティたちのギャップが感じられたように思います。そんな状況に一石を投じるべくリリースされたのが「MADISON SQUARE GARDEN 1986 FINAL NIGHT」でした。オーディエンス録音ながらも極上の音質、そして何よりも86年アメリカ・ツアーの中では別次元と呼べるほどディランが全力投球してみせた最高のパフォーマンス。おまけに近年トレーダー間でも入手困難だった音源のリリースということで世界中のマニアから好評を博しました。

それだけに今回のような新たなサウンドボード録音の発掘があったとしても、また当たり障りのないパフォーマンスがクリアに記録されてしまっているだけでないのか…そうした不安がよぎったものです。ところが今回のサウンドボード録音は一味ちがった!まずは同じアメリカ・ツアーでも7月や8月ではなく、6月の日程からの新発掘音源であるということ。これまで同月のツアーからはまとまったサウンドボード録音の発掘が一切なかったのです。PAアウトからのサウンドボード録音ということから、臨場感の希薄さは如何ともしがたいものがある。それでもこうした音源ならではのクリアネスは筆舌に尽くしがたい素晴らしさ。
だがしかし、それ以上に素晴らしいのがこの日のディラン。オープニングから一聴して解るくらいはっきりとテンションが高く、なおかつ覇気に溢れている。過去に出回ったアメリカ・ツアーのサウンドボード録音からは、そうした要素がほとんど感じられなかった。さらにディランが独りで弾き語るパートや「One Too Many Mornings」に「A Hard Rain’s A-Gonna Fall」といった選曲だけでも大いに魅力的なものですが、何しろディランの歌が力強い。そうした彼の力のこもった演奏がリアルに感じられるのはサウンドボード録音だからこそ。86年ツアーでもこんなにディランが充実の日があったとは!

一体どうしてこれほどまでに充実の演奏が聞けるのか?その答えは実に簡単。この日はディランの生まれ故郷であるミネソタ州でのステージ、つまり凱旋ショーだったのです。彼が愛するニューヨークでのステージということが功を奏したMSGファイナルと同様、この日もディランにとってスペシャルな土地でのコンサートということが功を奏したのですね。どうりで気合の入った演奏が聞かれる訳です。先の「A Hard Rain’s~」など涙モノの熱演だと断言いたしましょう。
こうして気合の入りまくったディランをペティとハートブレイカーズがっぷり四つに受け止めてみせる様子もばっちり。何しろディランに「絶好調」と言わしめた時期です。ペティの自信に満ち溢れたパフォーマンスぶりは圧巻。彼を亡くした今となっては、なおさらここで聞かれる熱演ぶりが胸に迫ります。正に絶頂期のペティとハートブレイカーズの姿がここにある。そんな彼らに煽られるかのごとく「Just Like A Woman」でもディランがテンションの高い歌を聞かせてくれるのが頼もしい。

そんな両者の最高の演奏が聞かれる最高のステレオ・サウンドボード録音ではありますが、ペティの「Breakdown」とディランの「In The Garden」において、それぞれにカセット・チェンジによるカットが入ってしまいます。この箇所に関しては、同日の激レアオーディエンス録音を補填することによって全長版としてストレスなく聴き通せるようアジャストしました。実はこの音源というのが激レアで、コアなトレーダー間の間でしか出回っていなかったというもの。音質的には音像ボケボケでエコー感が強いB級オーディエンス録音なのですが、だからこそ今回の音源の別格なクオリティを実感してもらえるのだとも言えるでしょう。そこにはアリーナの一番後ろから見ていたはずが、一気にステージ上にまで来てしまったほどの差があります。それでいて仔の音源が非常にスムースに補填されているので、文字通りストレスなく聞き込めてしまう。
このように初登場サウンドボード録音ということから他のアイテムが登場する可能性も高いと思われますが、同日のオーディエンス録音で欠損部をアジャストできるのは間違いなく本アイテムだけでしょう。おなじみ「Spike」で会場を盛り上げるペティの絶好調なステージング、さらに86年アメリカ・ツアー屈指の名演を心ゆくまでお楽しみください。熱狂のパーティ・ショーを最高のオーディエンス録音で捉えたMSGファイナル、そして地元ならではの熱演が圧倒的な今回のミネソタ・サウンドボード。86年アメリカ・ツアーを代表する極上音源&パフォーマンスの二大巨頭が揃いました!

Disc 1 (79:01)
1. Tuning 2. So Long, Good Luck And Goodbye 3. Positively 4th Street 4. Clean Cut Kid
5. I’ll Remember You 6. Shot Of Love 7. We Had It All 8. Masters Of War 9. Straight Into Darkness
10. Even The Losers 11. The Waiting 12. Breakdown (3:49-4:03 AUD補填) 13. To Ramona
14. One Too Many Mornings 15. A Hard Rain’s A-Gonna Fall 16. I Forgot Than More You’ll Ever Know
17. Just Like A Woman 18. When The Night Comes Falling From The Sky

Disc 2 (78:37)
1. Lonesome Town 2. Ballad Of A Thin Man 3. So You Want To Be A Rock & Roll Star 4. Spike
5. Bye Bye Johnny 6. Refugee 7. Rainy Day Women # 12 & 35 8. Seeing The Real You At Last
9. Across The Borderline 10. I And I 11. Like A Rolling Stone
12. In The Garden(5:41-5:48 AUD補填)13. Blowin’ In The Wind 14. Let The Good Times Roll
15. Knockin’ On Heaven’s Door

STEREO SOUNDBOARD RECORDING

Zion-117

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